カウンセリングは、自分ひとりでは解決できない悩みがある時や、辛さに寄り添ってもらいたい時に
必要です。しかし、 状態・状況を自分で考えて話せない段階では受けることが困難で、
通院(投薬)と休養が優先です。自分のことを話せる段階になったら、お医者さんにカウンセリングを
受けても良いか確認した上で取り組みましょう。
カウンセリングと言っても、その種類は多岐にわたります。
以下に私が受けたカウンセリング毎に、その特徴と、向き不向き、受ける際のポイントを記載します。
精神症状全般に効果のあるものに加えて、特にPTSD(心的外傷後ストレス障害)に効果の高いもの
を多く取り上げます。
ご自身に合うカウンセリングを見つけて、自身の辛さに効果的にアプローチすることで、
少しでも楽になることを目指しましょう!
カウンセリング
■特徴
カウンセラーとの対話の中で、自分の考え方や捉え方に気づくことができる。主体的に自分自身に変化
が起こることで、問題が解決に向かう。カウンセリングの最もポピュラーでノーマルなタイプ。
■対象
向いている人 :素直な人。自分の状況や問題が整理できていない人。
向かない可能性がある人:自分の抱えている悩みを正直に話せない人(話を捻じ曲げたり嘘をつく人)
:自分と異なる意見を頑なに拒む人。
■ポイント
自分の悩みや感情を正直に表現することが大切です。
カウンセラーの話を素直に聞き、自分の中で得られた学びや気づきを大切にしていくことが必要です。
認知行動療法
■特徴
いま目の前にある問題や不安、不満に対し、最終的には自分で現実的でしなやかな考え方ができること
を目指す。自身の浮かんだ考え(自動思考)に 焦点をあて、その認知の歪みを修正することでストレス
に上手に対応できる心の状態をつくる療法。
■対象
向いている人 :診療時以外の時間も認知行動療法の実践を試み続けられるような
行動力と継続力がある人。積極性のある人。
向かない可能性がある人:消極的な人。マメでない人。
■ポイント
「認知」と「行動」にアプローチすることが重要なので、自身の思考を認知し、物事の捉え方、考え方
のクセに気づくこと、今までの考え方を変換することを繰り返すことで、ストレスに対処できるように
なっていきます。カウンセラーと取り組んだ内容を日常生活でも常に実践し、繰り返し認知の歪みに
アプローチし続けることで、だんだんと今までの凝り固まった辛い考え方を手放すことができます。
ポイントさえ掴めれば、カウンセリング回数を減らしたり、自分だけで続けられる手軽さがあります。
日々の中でネガティブな思考が出てくる度に、実践を繰り返すのみです!
スキーマ療法
■特徴
認知行動療法などでは効果を示さないレベルの、深く大きな傷つきや苦しみ、パーソナリティなど
無意識的な核となる部分に作用する。養育歴に立ち戻り、過去の感情体験に変化を起こし心を育て直す
ことで、心の体質改善を図り、根本的な生きづらさを解消していく療法。
治療が上手く進むと、自分の気持ちを理解してくれているカウンセラーのことを親のように感じ、
自分の居場所があるという生きている上での安心感も感じられるようになっていきます。
■対象
向いている人 :精神的な体調不良の原因が不明な人。他の治療でなかなか改善せず、精神疾
患を繰り返す人。今向き合っている治療がしっくりこない人。
向かない可能性がある人:過去から今まで一貫して家族など自分のパーソナリティにかかわる部分に
十分な安心感を感じられている人。(家族の仲の良さとは別)
:カウンセリング自体未経験で、自分が深層に抱えてきた傷ついた体験
を全く認識していない人。
■ポイント
自分の傷つき体験が認識できていないが、深層的な生きづらさを抱えていてこの療法を受けたい方は、
事前にノーマルなカウンセリングを受けてみましょう。
ノーマルなカウンセリングで、過去の無意識的な部分に原因がありそうとわかったら、現在の人生観等
自身の根本に影響を及ぼしている過去の傷つき体験について、複数めぼしをつけてから本療法の初回に
臨みましょう。
カウンセラーとの相性がどのカウンセリングよりも重要になる療法と言えます。
信頼関係の下で進めていくため、一定の期間が必要、その分費用もかさむので、
医療費控除を受けられる病院で行うスキーマ療法を探すと良いでしょう。
※相談できる相手やストレスを緩和する方法を事前に確保しておいて下さい。
というのも、かなり深い部分にアプローチすることで、泣いたり激昂するなど感情が大きく揺れ動かさ
れるため、状態がかなり悪い方などは特に、ダメージ・ショック・消耗が大きくなってしまう可能性が
あります。この療法の前後は予定を入れず、頼れる方がいる人は、病院に付き添ってもらうことも検討
してみて下さい。
EMDR
■特徴
様々な精神衛生問題に対して効果のあるものですが、元はPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対する
心理療法。目の運動やタッピングなどを一定の手順に沿って行うことで、過去の辛い経験から受ける
否定的な影響を弱め、自分自身への肯定的な感覚を取り戻していきます。
■対象
向いている人 :トラウマを抱えており、自分の想いを言葉や形にすることが苦手な人。
向かない可能性がある人:論理的思考の人。
(脳の処理に抗ってしまい、コツをつかむまで時間がかかることも。)
■ポイント
自分の「こう考えたい」という想いや、そのイメージにどんな意味があるのか等別のことを考えること
を捨て、ただ頭に浮かんでくるありのままのイメージを認識する。浮かんでくる自分の感情や身体の
感覚に敏感になり、感情を認識していくようにする。
※相談できる相手やストレスを緩和する方法を事前に確保し、フラッシュバックへの対応法を
事前にカウンセラーに確認しておきましょう。
自分が認識していなかった記憶や怖いイメージが浮かぶことによる心理的負担もあります。
その場でカウンセラーが落ち着くよう対処してくれますが、療法後にフラッシュバックすることもある
ため、次回診療までに自分でできる対応方法を確認しておくと安心です。また、私の場合は、自分の心
を守るストッパーを無意識に作っており、イメージが思うように浮かばないことで行き詰ることがあり
ました。自分の心を明け渡した経験のない人は、自分の心を初めて無防備に開示することで、一時的に
かなり取り乱し心身消耗します。心の開示により解離が解けるという複次的な効果も得られました♪
※↑解離(受け入れがたい体験や記憶を、正常な意識から切り離すこと。体験や記憶、感覚や人格に空白部分が生じ、それらを統合できなくなる。)にアプローチできるかは、個人間で差異があります。
次回は、アプローチ別に、今回ご紹介できなかったカウンセリングを紹介していきます。
コメント