カウンセリングの種類・特徴②

前回の記事のカウンセリングの種類・特徴①の続きです。

ここではアプローチ別に、感覚からと身体から、2つの柱に分けてご紹介します。

各特徴を理解することで、自身の状態に合う療法を選んでみて下さい。

(※ただし、 状態・状況を自分で考えて話せない段階では受けることが困難で、通院(投薬)と休養が優先です。)

感覚からアプローチする

感覚を感じられない・感じにくい人もいると思います。

身体や感情にトラウマを抱えていたり、一定の感情(恥など)から抑圧して感じないようにしていた

り、感情を感じられなくなるに至った過程は様々あると思います。

しかし、気づきを向けられないほど傷ついたということは事実です。難しいと思いますが、

それだけ頑張っていた自分にいたわりの心を少しでも向けてあげるようにしてください。

自律訓練法

■特徴

自律神経のバランスをとり、自分でリラックスした状態を作れるようにするトレーニングです。

自分の体に暗示をかけるようにして、一定の手順に沿って身体感覚を感じていくことで、

交感神経と副交感神経のバランスをとります。精神的苦痛や痛みの緩和、衝動的行動を抑えたり、

自身の状態を自分でコントロールしやすくなります。

■対象

向いている人     :感覚を敏感に感じ取れる人。

           :手順に沿って自分で進めていくことができる程度の体調の、症状の軽い人。

向かない可能性がある人:誇大妄想がある人。感覚を感じにくい人。

         (トラウマ等により、乖離を起こしていて感覚を感じにくくなっている人も含む)

           :疑り深い人(ある意味自身を信じ込ませるような感覚が必要)

■ポイント

決まった公式に沿って言葉を心で唱えながら自分の中に沁み込ませていき、意識を感覚に集中させま

す。身体の感覚の些細な変化も敏感に感じ取り、自分の中でしっかり味わうようにします。

一度一人でやってみて感覚がつかめない人は、コツを習得するまでカウンセラーと共に行うことで効果

を得られる場合もあります。自分で自分の感覚に働きかける自己統制能力がつくことで、一人で衝動的

行動や痛み、苦痛にアプローチできるようになるのがメリットですが、向き不向きが出やすい療法でも

あります。

タッピングセラピー

■特徴

東洋の鍼のツボ(経絡)を軽く叩きながら、体内の滞った感情エネルギーを物理的に解放していく

エネルギー心理療法。ネガティブな感情が自然と和らぎ、自分自身が安定して、ありのままを受け入れ

られるようになる。

  • 例) TFT(思考場療法

鍼のツボを自分でタッピングすることによって心理的問題を解消する心理療法。

辛い感情を感じる事柄に意識を向けながら、自分の身体にあるツボを一定の手順でタッピングし、

心理的なエネルギーの過不足や方向を調整することで、様々な気分や症状を改善していく。

副作用も少なく即効性があり、慣れれば一人で行い、身体の症状や心の辛さを和らげられる点が

メリット。

■対象

向いている人     :フラッシュバックが起きる人。イライラ、不安、自責がやめられない人。

向かない可能性がある人:目の前の症状の辛さがあまりなく、根本的な辛さを強く感じる人。

■ポイント

副作用が少なく即時性もあり、目の前の症状に特に効果を示します。

どう考えればいいのかという思考自体いらずに、「自然に」症状が和らぐのが他の療法と違いです。

しかし、トラウマ体験が明らかになっていない場合や、トラウマ体験から長い時間を経過している場合

は、目の前の症状の辛さがトラウマ体験と関連していることに気付きにくいです。

実際私は、この療法だけではトラウマ体験を掘り起こすことができなかったので、施術を受ける順番

重要と言えます。トラウマを経験しており現在辛い症状が出ていてこの療法であまり感覚がつかめなか

った方は、スキーマ療法等で深層のトラウマ、ストレスの掘り起こしをした後に本療法を体験すると、

効果が出やすいかもしれません。

身体からアプローチする

私たちは問題を見つけて変えることに取り組むことに囚われがちですが、自分が自分自身であるとはど

ういう感覚なのか、しっかり感じてあげることは、とても大事です。

ストレスにさらされていない、本来あるべき心地よい(居心地の悪くない)状態を感じられることは、

今後あなたがストレスを受けた時に立ち返る場所をつくれ、ストレスにまみれた社会の中でも安心して

暮らしていくことができます。

SE(ソマティック・エクスペリエンシング)

■特徴

体内に溜まってしまった不要なエネルギー(トラウマとして残ったもの)を放出する療法。

身体に出る神経系の反応である感覚・症状から働きかけることで、身体の感覚を感じながら調整する

能力を身に着け、心を和らげていくことができる。

■対象

向いている人     :トラウマを自覚していないが心身が辛い人。

           :検査等で原因が明らかにならない不定愁訴がある人。

向かない可能性がある人:感覚鈍麻の状態の人。

            (身体の感覚が解離等で一時的に鈍くなっている人も含む)

■ポイント

感情を認識する必要はないので、幼い頃から自身の感情を認識することができなかった人でも身体が今

どのような感覚を感じているかがわかれば取り組むことができる点で手軽です。また副作用も少なく、

毎回安定した感覚を得ることができるので、どことなく不安感が付きまとっている人にも一度受けてい

ただきたいです。身体からアプローチするため、カウンセリング等を重ねても潜在的に自分を否定して

しまう感覚が抜けない人におススメです。自分の身体から自分の心を認識するきっかけを作れ、

結果、自身を大切にする行動にも繋がっていきやすくなります。一方、身体の感覚が一時的にでも麻痺

している場合は、効果を感じにくく、治療の進みも遅くなる可能性があります。

心身条件反射療法

■特徴

特定の言葉を連想する中で、その言葉に無意識に反応する身体の条件反射に向け施術をすることで、

自律神経の偏りを修正して自己免疫機能を向上させる療法

自分が無意識のうちにプレッシャーをかけていた考えを発見でき、身体の過緊張もほぐれるため、心身

両面が楽になる。メジャーではないため、この施術を行っている病院が少ないのがデメリット。

■対象

向いている人       : 自分の抱える辛さの内容がわからないため、治療が進まない人。

            :ストレスの原因に自覚がなく、慢性的な心身症状・不定愁訴がある人。

向かない可能性がある人: カウンセラーなど専門家と「対話」を中心に治療を進めたい人。

           :過去にストレスを感じた経験・体験が全くない人。(特定の言葉に対し、

            思い当たる経験を頭に浮かべて治療することから、自分のストレス体験、

            経験にある程度の目星をつける必要があるため。)

           :柔軟でない人(「自分にはそんな言葉はあてはまらない!」と頑なに考える

                   のをやめてしまうと、治療が進まなくなる可能性がある)

■ポイント

潜在意識の中に抱えている自身の課題・問題をはっきりと自覚できるようになるのが大きな特徴です。

そのため、自身のストレスの原因を認識していない(定まっていない)人自分がどんな感情に支配さ

れているか検討もつかないけれどもとりあえず苦しい・辛いと感じている人、他の療法で効果が得ら

れなかった人に非常におススメです。特定の言葉に対し、自身の記憶の中で思い当たることを頭に浮か

べながら治療を進めるため、今までの人生で自身にネガティブな影響を及ぼした出来事について、

ざっと振り返っておきましょう。目の前のストレスよりも、無意識にまで働きかけるような自分の

ストレス体験・経験がなかったか、深堀りできると、スムーズに治療が進みます。

治療後、日常生活の中においても、自分が反応した特定の言葉に対するアプローチを行い続けること、

また、特定の言葉に対し、他にも当てはまる出来事がかったか内省を深めていくと、

更に治療の効果が得られやすいと感じました。

メンタル鍼灸(例外※カウンセリングではない)

■特徴

病気による症状ではなく病気を起こす原因となる「気」の消耗、滞り、偏りにフォーカスした根本

治療。体の気を補うツボ(経絡)を刺激し、冷えを取り体全体の状態を良くすることで心身の緊張が

ほぐれ、気持ちを自然に上向きに変化させていきます。(カウンセリングではありませんが、

身体から心の状態を軽くする療法という意味では同等であるため、取り上げます。)

■対象

向いている人     :検査で異常が見当たらない心身の不調や不定愁訴がある人。

           :断薬や減薬をして根本治療を目指したい人。

向かない可能性がある人:鍼に抵抗感がある人。副作用がでやすく敏感な人。

           :カウンセラーと話をする・相談に乗ってもらいたい人。

           :目の前の問題を即時に解決したい人。

■ポイント

定期的に通う中で体質改善を図る形なので、長期的な目線をもって臨む必要があります。慣れないうち

は、好転反応が強く出て体調不良に陥ることも多いです。あくまで施術でありカウンセリングではない

ため、今目の前の課題を解決に導いたりすることはできません。寛解に近い場合を除いて、考え方の矯

正や症状の相談等、精神科の通院と併用して両輪のアプローチが必要と言えます。症状が落ち着いてい

て、精神科の薬が手放せない段階で受けることも可能ですが、その段階では向精神薬ほどの効果は感じ

にくいと思います。個人的には、症状の段階や自身の体質によって効果の差が出やすいと思いました。

ご自身に合いそうな療法は見つかりましたか?

こちらには、自身のストレスの原因を把握してない方でも気軽に取り組めるものを多く記載しました。

慣れるとカウンセラーなしで一人で取り組める療法も多いですが、病院にかかっている場合は必ず確認

をとって進めて下さい。一人で療法を行うにあたっておススメできる参考書も今後紹介していけたらと

思います。

色々なアプローチを試みても、思うように治療が進まないと疲れてきますよね。

カウンセリングを受けると、自動的に自分に向き合う時間を作ることができます。

病院に行ってカウンセリングを受けることは自分を大切にする第一歩です。

自分を諦めることだけはせず、休み休み、自分に思いやりを向ける時間をもってみてください。

次の記事では複数人で行うカウンセリングについて取り上げます。

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